天に降る雪
リアル鬼ごっこ
私は仕方なく答えた。
「えっと、じゃあかくれんぼとか。」
そう言って、かくれんぼを、やってみたが隠れられる場所がなく案外つまらなかった。
子供っぽい遊び、かくれんぼは私の見解とは違い四人は満足そうな表情だった。
「いやあ。面白かった。次は?何する?」
青い衣装の短髪イケメンだいちゃんが目を輝かせて聞いてきた。
私はこういう時の定番であるあの言葉を言った。「じゃあ、次は鬼ごっこ。」
そう言った瞬間に四人の顔色が変わったのを感じたのだがすかさず、紫の衣装の、かねたんが長い髪をかきあげながら切れ長の吸い込まれそうな目で私に話した。
「あれは確か、999年前の9月9日僕らは鬼ごっこをしたことがある。さあ、四人で鬼ごっこしておいで。」
この目を私は何処かでみたことがある。そう思う暇もなく足元が抜け私たちはあっという間に黒い水の中に落ちてしまった。

苦しい。
「苦しい、助けて」と言おうも黒い泥水のような臭いドロドロとした液体が口から喉を伝い圧迫し言葉にはならない。
ふと、横を見ると赤い何かと黄色い何かと青い何かが黒い泥へと消えていくのをみたような気がした。しょうくん!もっくん!だいちゃん!お願い!助けて!
もがいても、もがいても、私は臭い液体へ飲み込まれていく。このまま私は死ぬのだろうか。死んでいるのに、何故こんなに苦しいのだろうか。
すぽんっと底が抜け私は何処かへ落ちた。
異常に熱いサウナのような熱気とさっきの臭い液体の臭いでむせそうになったが今はそんな場合ではない。しばらくさ迷うと、そこに三人が横たわっていた。
「しょうくん!もっくん!だいちゃん!起きて~!」
三人を揺り動かす、しかしすぐに何かが違うことに気が付いた
マントが黒く。頭に角、長く伸びた爪、牙、まさしくこれは怖くなり、激しく脈打つ心臓の鼓動音に気付かれないように私はそっと逃げ出そうと後ろを向いた。
そっと、そっと逃げる。抜き足差し足。そっと。
その時、後ろに気配を感じ振り返ると、そこには、赤鬼、黄鬼、青鬼がいた。
青鬼が大きくさけた口でニヤリと笑いながら言った。
「さあ、これから本番、鬼ごっこの始まりだ。さあ、みんな早く逃げろ~。い~ちに~い~さ~ん…」
とにかく私は逃げた。途中、足が焦げるように熱い。後ろから追ってくる赤鬼を蹴り飛ばし、小高い山を登ると降りる時には足元には剣山のように尖っていて、そこを行くしかなかった。一歩踏み出すと
「痛い。」「痛いよ~。」
泣きながらも捕まるまいと、一歩ずつ進むしかなかった。これがここでは自然なのかもしれない。
どうにかこうにか赤鬼を振り切った。足の傷は痛くもなく綺麗さっぱり治っていた。
温泉のような場所があった。身体を休め温泉の池に浸かっていると遠くから笑いながら黄鬼がやってきた。服などなく裸のまま私は逃げ沢山の人混みへと入り込んだ。汚い男達が私を取り合うように囲んできて複数の手が伸びてきた。その手から必死で逃れた先には一本の木があってその上へ上へと私は上った。汚い男達が群がる。
その男達をよく見るとみんな手に指はなく服は着ておらずも顔が半分だったり、血だらけで片目が垂れていたり気持ち悪い風貌をしているのだ。
「来ないで~来ないでよ。あっちいけえ。」
泣きじゃくりながら、男どもを何度も何度も足で蹴り落とす。蹴り落としても何度も何度もやってくる。
私は何とか一番高いところまで上った。安心した瞬間、木が折れて私はまっ逆さまに落ちた。あの男どもの上に。
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