君が嫌いな君が好き
「…はっ?」

言われた私は訳がわからなかった。

自分が悪いんじゃんって、何よそれ。

「あまりにも愚だがうるさいからさ、黙って話を聞いてやろうかなと思って聞いたら何なの?

自分が好きだって言うことに気づかなかった相手が悪いみたいなこと言ってるけどさ、あんたはそいつのために何かやったの?

告白したの?

そいつに向かって“好きです”って言ってないでしょ?」

彼は呆れたと言った様子でウイスキーを口に含んだ。

ウイスキーを飲んでいる彼の横顔はとてもキレイで、まるで彫刻のようだと思った。

カツンとグラスをテーブルのうえに置くと、
「自分からは何にもしてないのに、気づかなかった相手が悪いって騒ぐのは高校生までだよ」
と、言った。
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