君が嫌いな君が好き
「あんたのモテ自慢なんて誰も聞いてないんですけど…」

呟くように言い返した私に、
「ああ、そうだったっけ?」

彼はふーんと呟いた後、ウイスキーを口に含んだ。

「幸せになりたいとかって言って騒いでたけどさ、まずは卑屈な自分の性格を直すことから始めたら?

あんた、絶対に彼氏いない歴は年齢ですって言うタイプでしょ?

その卑屈で、悪いことは全て人のせいだって騒ぐその性格を直さなきゃ、幸せになることなんて無理だからね?

彼氏どころか抱いてくれる男すらも現れないから」

彼はそう言ってスーツの胸ポケットに手を入れると、そこから財布を取り出した。

「じゃあさ…」

財布からお札を出した彼に向かって、私は言った。

「そう言ってるあんたは私のことを抱いてくれるって言うの?」

自分でも何を言っているのだろうと思った。
< 13 / 65 >

この作品をシェア

pagetop