君が嫌いな君が好き

「はい」

その１万円札を何故か私に渡してきた。

「えっ？」

何ですか、これは？

「この間、置き手紙と一緒にこれも置いてたでしょ？」

そう言った久米に、
「別に返さなくてもいいんだけど…」

私は首を横に振った。

「俺が嫌なんだよ。

女から金を貸すのはもちろんのこと、もらうことだって嫌なんだよ」

久米はそう言って、私の手に１万円札を押しつけた。

「ホテル代は俺が出したから」

私が１万円札を受け取ったことを確認すると、
「それと…」

久米はまた私の手に何かを押しつけてきた。