溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛

大勢の人たちで賑わう社員食堂でのこと。
壁一列に設けられたカウンター席では、私の隣に座る亜樹(あき)が私の返事を屈託のない笑顔で待っていた。


「もったいないから、美緒奈(みおな)に行ってもらいたいの」


食べ終わったランチのトレーを脇にずらし、置かれた一枚のチケットをツンツンと指先で突く。
そこには“豪華クルーズ船で楽しむ船上パーティー”の文字が躍っていた。


「せっかくゲットした貴重なチケットだから、無駄にしたくないの」


意思の強さが窺える上、アイメイクによってさらに強調した目で亜樹は私をじっと見た。

日頃から結婚の第一条件はお金だと公言している彼女は、セレブが集まりそうな場所にはちょくちょく顔を出している。
今回の船上パーティーも、そういった人たちが集う場らしい。
しかも、“超一流”と呼ばれる人たちのようだ。
なんでも、年収に規制があるというのだから驚いてしまう。

そんな貴重な予定を亜樹が蹴らなければならないのには訳があった。
二年前に亡くなったおじいさんの法事があるかららしいのだ。
おじいちゃんっ子だったから欠席するわけにはいかないそうだ。


「でも私、そういうのは苦手だから」

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