溺愛副社長と社外限定!?ヒミツ恋愛

美緒奈とのことは新ホテル建築の目途がつくまでは公表しないようにと、両親からきつく言われていたために、当然ながらふたりは知らない。

だからか、俺が大きな音を立てたのは、仕事と関係のないことを話していたことに対する警告だと思ったのだろう。
ふたりは「申し訳ありません。すぐ仕事に戻ります」と一礼して立ち去った。

両親の言っていることに異論はなかったが、こんな形で弊害が出るだろうと予測していたとおりの展開に頭が痛い。


「柳川さん、企画部の上川さんを呼んでいただけますか」


副社長室から出るところだった彼女を呼び止める。


「……企画部の上川さん、ですか?」


柳川さんは不審そうに眉をひそめた。
それに構うことなく、「はい」と返事をする。


「顧客情報管理システムのことで確認したいことがありますので」

「岸本部長ではなく、上川さんでよろしいんでしょうか?」


秘書なりの気遣いだろう。
そういった確認ならば、部長の方が話は深くできるからだ。

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