秘密の交換をしよう


美穂ちゃんはフォークを取った。


注文したスパゲティを食べるためだ。



「大学入学と同時に独り暮らし始めたのに?」


「いや、料理とかは出来るんだけど、どうしても自分だけの稼ぎでやりくり出来なくってさ。少し親に仕送りしてもらってんの」



香織ちゃんの言葉に、美穂ちゃんがうんうんと頷いている。



「……私は仕送りしてもらえないから」


「それってさ、なんか理由あるの?」



あるけど、確実に暗くなる話。


楽しいお昼時にするような話ではない。



「……またの機会に話すよ」


「じゃ、そのときはあたしも呼んでね!」



香織ちゃんは気遣ってくれたのか、明るく言った。



昔の話は、高校入学と同時に、誰にもしていない。


同情されるのが嫌だったから。



だから正直、二人にも話したくない。



「凛、無理に話さなくてもいいんだからね?」


「そんなことないよ。ちゃんと話すから」

< 14 / 188 >

この作品をシェア

pagetop