秘密の交換をしよう
美穂ちゃんはフォークを取った。
注文したスパゲティを食べるためだ。
「大学入学と同時に独り暮らし始めたのに?」
「いや、料理とかは出来るんだけど、どうしても自分だけの稼ぎでやりくり出来なくってさ。少し親に仕送りしてもらってんの」
香織ちゃんの言葉に、美穂ちゃんがうんうんと頷いている。
「……私は仕送りしてもらえないから」
「それってさ、なんか理由あるの?」
あるけど、確実に暗くなる話。
楽しいお昼時にするような話ではない。
「……またの機会に話すよ」
「じゃ、そのときはあたしも呼んでね!」
香織ちゃんは気遣ってくれたのか、明るく言った。
昔の話は、高校入学と同時に、誰にもしていない。
同情されるのが嫌だったから。
だから正直、二人にも話したくない。
「凛、無理に話さなくてもいいんだからね?」
「そんなことないよ。ちゃんと話すから」