秘密の交換をしよう
感心されても……
誰がどう見たって、わかったはず。
ほとんどの人が姫鈴さんしか見てなかったけど。
でも、ああやって誰も結木さんの嫌なことに気付かないから、結木さんは我慢してしまうんだ。
ということは、今の結木さんの性格を作ったのって、結木さんに関わってきた女性ってこと……?
「結木さん、我慢しなくてもいいんですよ?」
「本当に僕、凛ちゃんに会えてよかった。僕の内面を見ようとしてくれる人、いなかったし、そんな優しい言葉をかけてくれるなんて、もってのほかだったから」
結木さんは起き上がって、自分の横を軽く叩いた。
座れってことかな。
私は黙って隣に座った。
結木さんは前かがみになって、なにかを考えているみたい。
「俺の過去、聞いてくれる?」
声をかけようとしたら、かなり低いトーンの声が聞こえてきた。
そして、結木さんは横目で私を見る。
その目があまりに寂しそうで、私は言葉が出てこなくて、ただ、頷くことしか出来なかった。
すると、本当に一瞬だったけど、結木さんが優しく、嬉しそうに微笑んだ。