17のとしに
プロローグ
 その言葉に触れたのは俺たちが中学生のころだ。その概念に触れてしまった俺たちはなんとなく救われようとして、尚且つファンタジーチックな夢うつつな遊びを始めたのだ。

 とある秋頃の肌寒い放課後の事だった。俺のクラスに隣のクラスの女子白井奈央が失礼しまーすと軽く入室し、俺に話しかけた。隣の席を見やると春希、山下春希がいなくなっていた。
「あれ、今いたんだけど…」
「誠也とどこかいったのかな」
癖毛なショートヘアの奈央はううんと首を傾げた。左手を腰にあて、右手の拳を口に当てている。どこかの探偵のようだ。
「誠也くんは…教科の先生にノート提出しに行ったから違うかも」
「あ、そっか副?学級委員長だもんね」
「そうそう」
奈央はまたううんとうなり、教室の入り口を見やった。よく見ると、扉の向こうにもじもじと待っている人が見える。奈央や俺と少々接点のある中川まなみだ。普段、奈央ばかりがこちらの教室に遊びにくる。表情こそには出せなかったのかもしれないが、内心驚いていた。
「あれ、今日はまなみちゃんもいるの」
「そうそう、今日はみんなで図書館行こうと思ってさ」
「何するの?」
奈央はにんまりと笑い、口の近くにあった拳からひとさし指をたてた。
「私たちを救済する方法を探すの」



 
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