17のとしに
「俺たちは終わっちゃったよ。1年の頃に公開の文化祭やったよ」
「えー、俺来年なんだけど…。なんだかんだ忙しそうだなあ」
思わずため息をついた。初は空笑いする。しかし、奈央はこの会話に入って来ようとせず、ぼーっと空を見つめている。1年前、5人の関係が崩れたってことを思い出してるのだろうか。そう俺も黙り込んでいると、奈央が口を開いた。
「私、あの頃と同じような事しちゃったんだ。」
横顔しか確認できないが、奈央と俺に囲まれている初も悲しそうに視線を下げたので、いやな汗が流れていくのを感じた。肌寒い風が俺のことを冷やしていく。
「何したの」
「また、まなみのこと悪く言ってしまった。多分、5人のグループ抜けちゃってると思う」
「え?」
1年半前と比較すればたいした痛みではないが、それでも耐えがたい心臓がバクバクとしていくのを感じた。沈黙が流れる中、
「何でもしようとするからだよ」
と初。悲しそうな雰囲気をよそに、口から出た言葉は淡々としていた。
「ごめんね、せっかく誠也が手伝ってくれたのに」
「その前に何したんだよ」
奈央は少しうつむいてから、
「まなみがリストカットしてることから、言い合いになって暴言を吐いてしまった」
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