17のとしに
こういう話は何度かしてしまっている。まなみが手首を切る行為をしていたのも知らなかったがものすごく驚く、ということはしなかった。何番煎じと言いたい感情に近かった。
「仲直り、できるなら、するまで待ってるよ」
ぎこちなく顔をゆがめるだけになってしまったが、初も奈央も気づいてくれたんだろう。本当に申し訳なさそうに彼女は
「何とか、するけど。…でも誠也が苦しいときは私が駄目でもロスがいるし、ね」
「そそそ、あんまり無理するなって。お互い様でしょ」
2人だって無理してるだろ、といいたいが涙がこみ上げてきてどうにもうまく言葉がでない。ありがとう、とだけいった。曇り空で少しばかり肌寒い10月の休日のことだった。

 あとで少しだけ春希に話を入れようとか頭の隅で考えていた。
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