ヴァンパイアキッス
先生のその一言により女子は険悪にその子を見ていた。


やっぱり自分より可愛い子がいるとヤキモチ妬いちゃうし、それに羅稀の隣ってさらに女子から愚痴を叩かれるだろうな。


「…じゃ、さっそく授業を始めるから教科書開いててね」


えーっと、数学だっけ?


1時限目からやだな。


そう思いながら羅稀の方をちらっと見る。


「羅稀くん、あたし教科書ないから見せて欲しいなぁ?」


上手に甘ったるい声でお願いをする茉莉ちゃんを見てあたしは苦手なタイプだと思った。


「ん……。」


「ありがとぉ!羅稀くんって優しいんだね♪」


初対面なのに下の名前でしかもキャピキャピしてるなんて。


あれっていわゆるぶりっ子系女子なのかも。


こういうふうに人を軽蔑するのは良くないと思うけどあたしはやだ。


「教科書良く見えないから席くっつけるね?」


「じゃあ、俺の貸すから1人で見れば?」
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