癒しの田中さんとカフェのまみちゃん
考え事をしながらもいつの間にか寝ていたらしく、
起きたのは翌朝、午前10時だった。

健くんからもらった、おかゆとカットフルーツを食べた。
食べるものをしっかり食べて、十分な睡眠をとったので、
体が軽かった。

とりあえず、松浦社長にお礼の電話を入れなければと思い、
B.Cコンピュータに電話した。
社長は不在とのことで、電話口には小林さんが対応してくださった。
恥ずかしいとは思いながらも、
なぜ、社長にお礼がいいたいのかを説明した。
すると、返ってきたことばは耳を疑うものだった。

「白石さん、あなたの事情はわかりました。
ただ、社長はこの件で、あなたとお会いにならないでしょう。
もちろん、翻訳の仕事の件であれば、ビジネスですので、
話は別です。社長はあの通り2枚目ですからね。
社長に近づきたくて、御礼をいいたいとかお食事に誘いたいとか
いろいろ言ってくる女性はかなりいます。
そのことが原因なのかどうかはわかりませんが、
社長は女性不信です。
そのため、女性の秘書をそばに置かず、
自分と直接コンタクトをとろうとする女性は悉く無視するでしょう。」

あーあぁ、お礼くらい直接言いたかったな。
小林さんの言った「女性不信」ということばが耳に残り、
他の話は頭の中に入ってこなくなった。
< 33 / 91 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop