癒しの田中さんとカフェのまみちゃん
翌朝、出勤し皆さんに挨拶をした。

「今日からお世話になる白石真美奈です。
『まみ』と呼んでください。よろしくお願いいたします。」

拍手で迎えられた。
カフェのまみちゃんの誕生だ。

私の仕事は、接客が中心。

コーヒーを入れるのはマスターと葵(あおい)さんと健(たける)くん。

葵さんは、マスターの奥さんで、30歳。
調理師免許を持っており、調理も担当する。
ショートカットでかわいらしい感じの方だ。

健くんは大学生で21歳。私と同じアルバイトだ。
彼は、接客とコーヒー、食器洗いなどマスターと葵さんの指示を受けながら、
手伝っている。彼はここのアイドル的な存在だ。

そして、接客のリーダーの涼太(りょうた)さんがいる。
涼太さんは、マスターと同じ社員だ。
33歳で、マスターと一緒にシアトルで研修を受けたのだそうだ。
クールガイといった感じでマスターとはタイプの違うイケメンだ。

みんな優しそうな方で安心した。

基本的にはセルフサービス。
カウンターで注文を聞いて、
受け渡し口で注文品を渡すという流れ。
初日は、いろいろと教わりながらの仕事で時間も
アッという間だった。

皆さんのおかげで1週間もすると、
仕事もだいぶ慣れた。
英語が話せる人を募集したように
バイトの時間帯だけでも1日に数回は英語で接客がある。
時には道案内もしなければならず、
マニュアル化されていないことを話すのも楽しく感じた。
それにもともと私はコーヒー好き。
大好きなコーヒーの香りに包まれて、良い仲間に恵まれて、
この仕事は気に入っている。
翻訳の仕事はパソコンに向かってばかりいるから、
立ち仕事で体を動かすのはある意味
バランスがとれているのかもしれない。
いい仕事見つけたなって本当にそう思う。

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