癒しの田中さんとカフェのまみちゃん
「真美奈、聞いている?」

「は、はい。すみません。私、これ片付けますね。」

俺の話をはぐらかすかのように食事の後片付けをはじめた。
キッチンに立っている真美奈をそっと後ろから抱きしめる。

「指輪、今日、買いに行こうな。」

確認するかのようにささやいた。

「ありがとうございます。」

真美奈がきちんと受け入れてくれたような気がして安心した。

「じゃあ、簡単に部屋の中を案内するよ。」

そういって、書斎やゲストルーム、ゲスト用のバス・トイレ、
将来、子供が生まれたときに使えるようにするための予備の部屋、
収納部屋などを説明した。

あとは、52Fは特別でIDカードと暗証番号が必要だ
ということも説明した。

「今日は、真美奈用のカードを作っていられないから、
ここから下へ行くには俺と一緒じゃないといけないんだ。
これから戸締りをするからちょっと待っていてくれないか。」

「はい、わかりました。
でも、私のために一度下まで行くと、
悟さんのオフィスは27-28Fなのに、不便ですよね。
さやかさんにお願いして、
さやかさんの出勤時間にここを出るようにしましょうか。」

「そうだな。今、Am9:00か。
じゃあ、真美奈、一応、帰れる仕度して。
隣のお宅訪問といきますか。」

そういって、井口の家を訪ねる。
インターホン越しに

「井口、俺」

といって、玄関のキーを解除してもらった。
井口とさやかさんが立っていた。

「お前たち、二人で来るっていうことは、
うまくいったのか?」

と井口に言われた。

「あぁ。」

するとさやかさんが声をかけた。

「わぁ、嬉しい。よかったね、まみちゃん。」

「はい。」

俺にしても真美奈にしても井口夫婦にいろいろ相談に
乗ってもらっていたんだよな。二人の存在がありがたい。

「さやかさん、悪いんだけど、
真美奈と一緒に4Fまで行ってあげてほしいんだ。
ここちょっと特殊だから。」

「いいですよ。
まみちゃんからどうしてお泊りになったかも聞きたいし。
ウフフ…」

真美奈はまた顔を真っ赤にした。
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