キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】



そう言われても、碧音君にあーんってすることが私の夢のうちの1つなんだから。


碧音君がちょっと照れながらも、可愛くパスタをパクッと食べる様子を想像して悶えた。ギャップが堪らない。


「碧音君、口開けて?」


「嫌」


「碧音がいらねえんなら、もーらい」



―――――パクリ。



「な、なっ……!」


食べたのは碧音君ではなく、身を乗り出してパスタにかぶりついた皐月。私は、皐月にあーんしてしまったのだ。


「お前の料理の腕だけは尊敬してやる。料理だ、け、な?」


「強調しなくても分かりますけど?!ていうか、何で皐月が食べちゃうんですか。食べて欲しかったのは碧音君だこの野郎」


「ははっ、明日歌ちゃん敬語止めた」


藍さんに突っ込まれて、自分で気がついた。でも致し方ない。


「お前、無駄なことしてないで手動かしてさっさと食え」


「分かってますーう、食べます」


4人共既にパスタを半分以上食べ終えているのに、私は半分以下なので『あーん』することは諦め食べることに専念。


あんなにマイペースに食べていた星渚さんも、完食に近い。碧音君も手を止めることなく食べてくれているので、嬉しい限りだ。


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