キスと涙で愛を知る【加筆修正・完】
2限目終了のチャイムが鳴っても上の空でぼうっとしていると。
「明日歌!星渚から電話!」
菜流が慌てた様子で私の席に自分の携帯を持ってきてくれた。
「星渚さん?」
「早くでてあげて!」
あれよあれよという間に携帯を握らされ、仕方なく耳にあてる。
「かわりました明日歌です」
『今明日歌ちゃん学校だよね?今そっちに藍が車で向かってるから校門で待ってて!』
「……え、えっえ?!藍が?学校に?」
いきなり何を言ってるんだこの人は。いつも気まぐれで突拍子もないことを思いつく人だとは思っていたけれど。
『早く待っててあげてね!じゃ!』
待って、と言う前に通話終了の合図。呆然と画面を見つめるも再び連絡があることはない。
「今藍がどうとか聞こえたけど、星渚なんて言ってたの?」
「私もよく分かってないけどとりあえず早退する!」
「早退?何でよ!」
「ごめんじゃあ行くね!先生には体調不良ってことでよろしく」
「ちょっと明日歌っ!」