朧咲夜ー真相ー【完】

+++

「ねえ流夜、聞いた? 僕、咲桜ちゃんの彼女なんだってー」
 

イラッとした顔をされた。


「その場凌ぎの嘘だろ」
 

吹雪の配置されている資料室で、くるりと回転椅子を廻して、やってきた流夜をからかった。
 

流夜も、昼の成り行きは当然のことながら承知していたけど――吹雪が降渡程度の盗聴に気づいていないわけがないのだ――改めて口にされるとむかつく。


あの子は俺の。


「いやー、僕もドキッとしちゃったなあ、さすがに。咲桜ちゃんみたいなかわいー子に抱き寄せられちゃったし」


「俺だってドキッとしたよ。お前が咲桜に気ぃ惹かれたの、わかったからな」


「……あれ?」
 

吹雪が笑顔で固まる。


流夜は細く息を吐いた。呆れたように。


< 32 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop