朧咲夜ー真相ー【完】
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「ねえ流夜、聞いた? 僕、咲桜ちゃんの彼女なんだってー」
イラッとした顔をされた。
「その場凌ぎの嘘だろ」
吹雪の配置されている資料室で、くるりと回転椅子を廻して、やってきた流夜をからかった。
流夜も、昼の成り行きは当然のことながら承知していたけど――吹雪が降渡程度の盗聴に気づいていないわけがないのだ――改めて口にされるとむかつく。
あの子は俺の。
「いやー、僕もドキッとしちゃったなあ、さすがに。咲桜ちゃんみたいなかわいー子に抱き寄せられちゃったし」
「俺だってドキッとしたよ。お前が咲桜に気ぃ惹かれたの、わかったからな」
「……あれ?」
吹雪が笑顔で固まる。
流夜は細く息を吐いた。呆れたように。