幾久しく、君を想って。
昨夜、話をするうちに、子供のことを優先したいと語る彼女に少しだけ頭に来た。


子供の前に俺を見ろ…と言いたくなって、それを思いながら唇を奪った。

彼女の息遣いが荒くなってきて、食い止めていた欲情が噴き出してしまった。


妊娠経験がある女性とは思えないほど敏感な反応を示す彼女に心から惹かれてしまった。


意地悪く抱くことで思い知らせたい気持ちが何処かにあった。

母親である前に、真梨も一人の女だと思い知らせておきたかった……。




「……真梨」


耳朶に擦り寄り囁く。

昨夜は、行為の途中からさん付けもしなくていいと叫ばれた。

彼女は、俺の勢いにただ翻弄されていただけかもしれないけれど。



……それでも俺は嬉しかった。

名前を呼び捨てられた瞬間、

彼女の別れた夫にも、息子にも勝った…と思った。


同時に溢れるほどの愛情が湧いて出た。

離婚後、女を抱いて満たされたのは初めてだった。



彼女の願う通りに、子供の次でもいいか…と思えた。

抱きながら無理を訴え続けたけれど、多少なら目を瞑ってやってもいいとさえ変わっている。





(……だけど……真梨………)



どうか男の気持ちも覚えていて欲しい。

俺はいつでも君のことが一番好きで、大事な子供でさえもライバルにしか見えないんだってことを。


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