幾久しく、君を想って。
木の温もり溢れる教会のバージンロードには真っ赤な絨毯が敷かれ、祭壇の側には背の高い男性が緊張した面持ちで立っている。

宮ちゃんと同じくバツを持つ彼は、今日という日をどんな気持ちで迎えただろうか。


出席者の面々は、誰もが皆、落ち着かない様子で式が始まるのを待っている。

宮ちゃんのお母さんは複雑な表情で、彼のお母さんと思われる女性は、心配そうな眼差しで新郎を見つめていた。


ウエディングマーチの流れ出す中、教会の扉が開かれた。

真っ白なドレスに身を包んだ彼女が、お父さんの右腕に指先を引っ掛けて現れる。



ホゥ…とため息の出る様な美しさに息を飲む。

どうかこれから始まる日々が、いつまでも気高く、尊い毎日であるよう願うだけだーー。



衣擦れの音を立てながら、一歩ずつ進む足音が聞こえる。

目の前を過ぎていく彼女の視線は下向きで、これまでの生き方を表しているみたいだった。


最前列の席にいるお母さんと拓海君に近づいた時、彼女の目頭に涙が浮かんだ。


ぎゅっと唇を噛んだ彼女の手を取ったのは、同じ心の痛みを知る人……。



お父さんから託された女性に微笑んで、ぽそりと何かを囁いた。

そして、二人で並んで前に立ち、神父様の祝福を受けたーー。




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