幾久しく、君を想って。
互いに愛を誓い合った後、指輪の交換をする時になり、彼はベールを捲った彼女の目を見て優しく笑い合った。

そのまま手を取って、二人で列席者の方を向いた。



「本日はお集まり頂き、ありがとうございました。

皆様の後ろ盾のお陰で、こうして真梨と誓いを交わすことが出来ました。


指輪を交換する前に、皆様の前で彼女の心配を払っておきたいと思います。

自分の覚悟を皆さんに聞いて頂き、今後の結婚生活への戒めにしたいと思います」


異例とも思う言葉を述べた後、松永さんは宮ちゃんの両手を掬った。

向かい合う格好で彼女の目を見つめた。



「初めて君と会った日から、僕の人生は再び動きだしました。

君と会える火曜日の配達が楽しみで、朝からいつもウキウキと胸が弾んだ。

笑顔しか見せていなかった君の泣き顔を目にした瞬間は、胸が痛くて堪らなかった。

同じ痛みを持つ君が、より一層近い存在に思えました。

お互いに幸せになりたいと思いながらも、傷つくことを恐れる余り、踏ん切りが付かない日々を過ごしてきたよね。


……でも、今日僕らはこの教会で式を挙げ、皆の前で愛を誓った。

その言葉に恥じないよう身を粛して、これからの日々を過ごしていきたいと思います。


一度は失敗した俺達だけど、今度こそ、幾久しくよろしくお願いしたい。


俺はいつまでも、真梨を想うよ」


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