幾久しく、君を想って。
笑いかけられた宮ちゃんの目から光る雫が溢れ落ちていった。

泣きながら指輪を交換し、お互いの気持ちを寄せ合う様なキスをした。



過去の重苦しい日々が、そのキスで追い払われて行く。

明るい未来への扉が開き、そこへ向かって二人が歩み始めたーーー。




「拓海君もおいで」


呼ばれた息子が照れくさそうに近付く。

子供を真ん中にして進む道には、思う様に行かない日もあるかもしれない。



それでも、失敗を恐れずに進んで欲しい。



幾久しく、何処までも一緒に……。






「おめでとう!宮ちゃん!」


花弁を撒き散らしながら祝した。


今日からは宮ちゃんじゃないよね。



「松っちゃん」……


どうか、そう呼べる日々が永遠に続きますように……。





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