切手に想いを添えて
会長さんはお祖母ちゃんの親友だし、別れ際ああは言ってくれたけど…



初めて会った人に連絡するのって凄く勇気いるし~



毎日のように会ったときの時間帯にここに通っているのだから、もう会えてもいいと思うんだけど…

時間帯変えてみようかな~





「前島さん。お待たせしました。」


「「はい。」」





ん?今、横の人と声被んなかった?


自分の名前を呼ばれた反射で、手続き終わるの早いな~と思いつつも返事をしけれど…


横を見るとふくよかなおばさんと目があった。


どうやらこの人と声が被ったらしい…









これは…








「す、すみません!前島昭子さんお待たせしました!」





ですよね…
早すぎるもんね…




私は目があった前島違いの昭子さんに苦笑いを返す。




凄く気まずいー!

帰りたい!





まだ手続きが終わらないらしく、前島昭子さんはまた私の隣に戻ってきた。

気まずいのだから違うところで待っていて欲しかったが、混んでる局内で待てるとこなど殆どないのだからしょうがない…






「前島さん。お待たせしました。」



そう時間も置かず、今度は違う窓口から名前を呼ばれたが
、さっきの一件もあって動けないでいると…





「前島…えっと…前島密さん!」

密子ですー!

何で間違えた!?

今日もちゃんと名前書いたでしょ!?





「木村さん!その方、前島密さんじゃなくて、密子さんよ!」

「えっ!あっ!申し訳ありません!」


窓口の担当を交換したのだろう。
先ほど貯金窓口にいた新人さんらしき女の子が呼んだ郵便窓口へ行くと、凄い勢いで頭を下げられた。



「いえ、気にしないで下さい。
よく間違われるので…」


郵便局で…


「前島密って、郵便の創業者ですよね?」



言われた金額分の切手が中々ストックブックから探しだせず、待たせてる気まずさから何気なくそんなことが口をついた。



「よくご存じですね!
凄く可愛らしいおじいちゃんですよ。」



と、見せてくれたのは1円切手で…



そこには確かにおじいちゃんが描かれていたのだけれど…



可愛いか!?
普通のおじいちゃんにしか見えないけど!?


あれか?今時の子はなんでも可愛いいって言っちゃうあれか?あれなのか?



「か、可愛いですね~…」
よく分からないけど…



自分で降っておきながらなんだけど、この話題は適当に合わせて話を終わらせることにした。



「今日は局員さん少ないですよね?お休みなんですか?」



「実は一人、パートさんが辞めてしまって…」



なるほど、それで少ないわけか。

まぁ、私が本当に聞きたかったのはそこじゃないんだけどな…


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