切手に想いを添えて
「数分でこんな変わり様ってあり!?」



これじゃあ、流石に帰れないな~

どのくらい待つか分からないし、中の椅子で待つのは気まずい…

郵便局の中にお客さんはいないし、この雨で郵便局に来る人もいないだろうし~
入り口の軒下で待たせてもらおう。




最近は、春とまではいかないけれど暖かくて、外にいるのも苦ではない。

こうして待っている間にも、会長さんと会えるかもしれないしね。

なんて、豪雨の中来るはずもないのにポジティブに考えてみたりする。



「いつ止むんだかな~」



完全に止まなくても小雨になってくれさえすればいい。

雨のなか走って帰っても、風邪を引かない程度の雨に。



軒下から空を除き混んで見ても、一面の黒い雲が相変わらず覆っているだけでいつ止むとも分からない。

どれ程空を眺めていても、雨粒の大きさも変わることはない。




そんな荒れた天気の中近づいてくる人影があった。

私は雨が道路を激しく叩く音と空ばかり眺めていたせいでその人物に全く気づいていなかった。

その人に気づいたのは五段ばかりある階段を登ってくるあたりでだった。

男性だとは分かったが、えんじの傘で顔は見えなかった。





こんな雨の中よく外出しようと思ったな、この人…





と、階上から強者を見下ろしていると、不意に傘が上げられ…


「あれ?前島さん。こんにちは。」



傘から現れたのは、桐ヶ谷さんだった。


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