切手に想いを添えて
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「ごめんなさい、お待たせしちゃったかしら?」




「いえ!今来たところです。
今日はお呼び立てしてすみません。」




随分温めた椅子から立ち上がって迎えると、会長さんは「もうー座って座って!そんなに畏まらないで。」と直ぐに私を元の位置に戻らせた。



今日の会長さんは初めて会った時のもんぺ姿とは打って変わって、洗練された非の打ち所のない出で立ちだったから、会うのが二回目なのに初めて会ったような…不思議な感じがする…



「私もあなたとはまたお話ししたいと思っていたから、連絡もらって嬉しかったわ。」


会長さんはにこにこと人好きのする笑顔で、数年来の友人のように接してくれる。


「そう言って頂けると嬉しいです。
秋山さん、メニューどうぞ。」



椅子に腰かけた秋山さんにメニュー表を渡すと「ありがとう。」と受け取ってくれたが、何だが複雑そうな表情を浮かべている。



「出来れば私のことは下の名前で呼んでくれないかしら。
あなたと話していると、若い時の久枝さんと話しているようで昔に戻ったような気持ちになるの。
だめかしら?」




「じゃあ私のことも名前で呼んで下さいね。」




千鶴さんは少し驚いたようだったが、「ええ。そうさせてもらうわ。」と先程とはまた違う、心底嬉そうな笑顔を浮かべた。



注文した飲み物がくるまで他愛のない話をして待っていたが、内心早く本題に入りたくてしょうがなかった。



答えを知っているかもしれない人にやっと会えたのに、聞き出せないジレンマ…



ウェイターさんがそれらを運んでくると待っていましたとばかりに口を開いたが…





「それで、聞きたいことって何かしら?」





先に口火を切ったのは千鶴さんの方だった。


呼び出してまで聞きたいことだ、千鶴さんも気になったいたのだろう。



「実は…」



と、ストックブックから手紙を見つけたこと、その手紙を読んでしまったこと、その手紙に書かれていたこと、手紙を読んで私が思ったことを素直に話した。



「この手紙なんですが…」







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