切手に想いを添えて
「ん~使えるんじゃないかしら?」


「凄く昔の切手だし、売ったら高くなるかもよ?」


「どうかしら?
殆ど黄ばんじゃってるし、裏の糊も剥がれちゃってるわよ?」


「知り合いに切手に詳しい先生いるから、見てもらおうか?」


「そうね、言子ちゃん見てもらって。」





私そっちのけでまた二人だけで話進めてるし…





「だったら、そのまま言子姉ちゃんが貰ってよ。
万年筆は私が貰うから。」




「嫌よ。ミッコは万年筆なんて使わないでしょ?
それにこの前、がらくたネットオークションに出すって言ってたじゃない。」



「言ったけど…」

がらくたじゃないけどね!



「価値が出なかったら送る時それに使えばいいじゃない!はい、決まり!」






こうして、私は押し付けられた形で切手を貰うことになったのだが…

次の日、早速その先生に見てもらったが、額面金額以上の値打ちがあるものは残念ながら一枚もなかった。






だけど、こんな古い切手が本当に使えるの~?

お姉ちゃん達は大丈夫だろうとは言ってたけど…

まずはこの切手が使えるかどうか郵便局で聞かなくちゃ。

丁度送らなくちゃいけない荷物が出来たから、聞いてみよ。

事前に荷物の宛名も書いてった方がいいよね。






事前に貰っていた宛名ラベルにすらすらと書いていくが…


後は自分の名前を書けば終わりと言うところでボールペンのインクの出が悪くなった。


なんとか"前島密"までは読めるが、"子"はほぼ消えている。

だが複写式なのでちゃんと下の用紙には移っているようで…



「まっ、いっか。」



私は特段気にもせず、そのまま持って行くことにした。




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