3センチHERO

「ほら、着いたぞ」


幾分かが過ぎ、三枝くんの声と共に立ち上がる。


着いた、って……どこに連れてきたかったんだろうか。


駅を降りてみると、その答えはすぐに分かることとなる。


「ゆ、遊園地…?」


改札口の向こうに、あのジェットコースターが見えたのだ。


見覚えのある遊園地で、いや、忘れる訳がない。


三枝くんと逢坂くん、私で楽しんだあの日。


ジェットコースターにお化け屋敷、それから観覧車。


本当に夢のような1日だったのを覚えている。


けれど、それはそれで別の話だ。


またここに来るなんて、どういうことなんだろう。


「おいで」


疑問を抱きつつも、私は彼の手に引かれ、遊園地の中へと入っていった。

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