イケメンエリート軍団の籠の中
舞衣はもう一度時計を見て、一気にそのカクテルを飲み干した。
か、辛い……
それに、めちゃくちゃきついよ~~
もう何も言葉を発せずに、舞衣は黙々とバッグを自分の手元に寄せる。
「マイマイ、まだいいじゃん」
映司はまた店員を呼んで、舞衣の新しい飲み物を頼もうとする。
「い、いや、あの、友達が待ってるので…」
「じゃ、その友達をここに呼んじゃえよ」
「い、いや、それは……」
舞衣が言葉に詰まっていると、トオルが遠くの方から助け船を出してくれた。
「映司、舞衣を困らせるなよ。
今日、来てくれただけでも偉かったんだから。
もう、帰っていいよ、今日はありがとうね」
舞衣は泣きそうだった。
ちょっと苦手になっていたトオルの事が、この瞬間で大好きになった。
「ありがとうございます」
舞衣は店にいる全員に頭を下げ、やっと店から出る事ができた。
急いで凪の待つ入居者専用のエレベーターまで走る。
「3分50秒、遅刻」
イライラが頂点に達しているような怖い顔をして、凪はエレベーターホールに立っていた。