イケメンエリート軍団の籠の中



大きな窓から陽が差し込むこのサロンルームで、座って落ち着いてコーヒーを飲むなんて、かつて一度もなかった。

でも、今、凪は、この部屋から出て行く舞衣を無言で見送り、さんさんと降り注ぐ柔らかい陽射しを浴びながら、一人で温くなったコーヒーを飲んでいる。

今まで自分が挑んだ勝負には負けたことがない。
それは現在の仕事に関しても、遡ればガキの頃の勉強やスポーツに関してもだ。
ましてや、女に関しては、俺自身が本気になることはまずなかったし、気に入った女性は何をしなくても簡単に俺のものになった。

それなのに…
あのぷにゅぷにゅの奴……

最近の凪は、毎日の生活に少なからず刺激を求めていた。
名声も金も仕事も充実し過ぎて、逆に面白味が全くない。

恋愛にいたっては、本気になった試しがないため、何が楽しいのかすらも分からなかった。


凪は座っているテーブルの上から腰を上げた。

俺は、松村舞衣と極上の恋愛をする。
あいつの気持ち?? 
そんなのどうでもいい。
久しぶりに本気になった俺の中の熱いものは、そんな簡単に引きさがるもんじゃないんだよ。

っていうか……
こんな俺を本気にさせた奴…

何があっても、誰にも渡さない…





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