光ることを忘れた太陽。
俺も、雅兄みたいに親に構ってほしかった。
中学生にもなって恥ずかしいけど、俺だって愛情をうけて育ちたかった。
縛られた暮らしなんて嫌だった。
「俺、もう後悔したくない」
そう言うと、咲希は微笑んでくれた。
「じゃあ、一緒に行こっか」
そう言って、手をさしのべてくれた。
その咲希の笑顔は眩しくて、思わず触れたくなる。
もっとその心に近づきたいって思う。
きっと、みんな受け入れてくれる。
いや、俺が説得して伝えるんだ。
今まで溜めてきた思いも、これからの未来のために。
咲希と歩んでいく、この先のために。
◆◇◆
「田代雅也って、何号室ですか?」
病院の受付でそう尋ねると、困った顔をされた。
でも俺の顔を見てわかったのか、笑顔で教えてくれた。
「弟さんですね?」
そんな風に言われたのは久しぶりで、「はい」と答えるのもぎこちなかっただろう。