光ることを忘れた太陽。
「……尚也、大きくなったね」
雅兄はそう言って、俺の顔に手を伸ばす。
初めてなんかじゃない、懐かしい感覚。
ずっと忘れていたような、家族の絆のような大切なもの。
これが、“ 愛 ” なんだ。
俺が咲希に抱く感情も、家族との絆も。
どちらも忘れちゃいけない、かけがえのない気持ち。
「2人に会えて良かった。咲希ちゃん、尚也をよろしくね」
「はいっ……!」
そう答えた咲希の目は、少し潤んでいた。
雅兄、俺は進むよ。
もう後悔なく、明日へ向かって歩いていける。
隣に咲希がいれば、何があっても絶対に大丈夫。
「絶対、幸せに……なろうよ」
今度は、『幸せになって』なんて他人事みたいな言葉じゃなかった。
「幸せになろう」って、隣で歩いていこうって。
誰かを想う気持ちを忘れずにいようって、そう思えた。
「また来てね」
そう言って手を振った雅兄が、俺にはとても大きく見えた。