光ることを忘れた太陽。

そう思っていた私は。


「……なんで気づかないかな」


尚がボソリと呟いていたことなんて知らなかった。



でも、そんな私達の空気を破るかのように声はとんでくる。


「新学期早々、夫婦で登校してんの?」


「相変わらずラブラブだなー」


通りかかる男子は、私達が一緒にいるとよくからかってくる。



正直言うと私は、そうやってからかわれるのが苦手。


実際、私と尚の関係はただの腐れ縁なんだから。



「……うるせーよ」


低い声に驚いて振り向くと、どうやら今の声は尚だったらしい。


普段は意地悪なのに、こういうときだけクールなんだよね。



「私と尚は、ただの友達だよ?」


尚の言葉に続いて、私も言い返す。


そう言うと男子達は呆れたように肩を落として、「じゃあな」と言って走り去って行った。
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