溺愛妖狐ひろいました
「ごめんね、ちゃんと止められなくて」
「ううん・・・。ごめん。ごめんね、亜子」
シュンと垂れた尻尾も耳も相変わらずで。
本当に、落ち込んでるんだとわかる。
どうしたら元気になるだろう。
「今日、まだ人間の姿になる元気あるなら。仕事終わりにどっかいこっか」
「・・・うん!行く!亜子とお出かけなら、どこでも行く!」
ぱあああっと効果音が聞こえるように明るくなった表情。
私とどこかにいける、そんな事でそれだけ元気になってくれる尊が可愛くて仕方ない。
シュンと垂れていた尻尾も耳も、一瞬でピンと上にあがった。
「尊、ありがとうね。尊が怒ってくれたから、私は怒りを忘れられたんだよ」
「・・・亜子。亜子を傷付ける奴は許せない。亜子は、おれが護るんだ」
「ありがとう」
真っ直ぐな言葉は、私の胸にまっすぐと突き刺さって。
その言葉が嬉しくて、温かくて。
私はやっぱり、尊を手放せないなと思った。
我儘で勝手な話だけれど。