溺愛妖狐ひろいました
「あいつ、やめるって」
「・・・はい」
上司の口から告げられると、皆残念そうに声をあげた。
遊佐先輩がこそっと私に尋ねる。
「会社を辞めても、お前の側にはいるんだろ?」
「だったら、なんだっていうんですか?」
ついきつい口調になってしまう。
先輩が悪いんじゃないのに。
あたる様なことを言って、最低だ。
「・・・ちょっと、これ」
「え?」
遊佐先輩はそう言うと突然私に何かを吹きかけてきた。
まるで粉のようなサラサラとしたもの。
「な、なんですか!?」
「俺の知り合いからもらったんだ。お前の事相談したら、魔よけの塩だって」
「魔除けって・・・。尊はそんなんじゃ・・・!」
「でも、人間じゃないんだろ?だったら、側にいるべきじゃない」
「どうして先輩にそんなこと決められなくちゃいけないんですか!」
心配してくれてることはわかってる。
でも、尊の事なにも知らないのに。