溺愛妖狐ひろいました
「尊・・・?私、これから少し出かけてくるね。日曜の夜には戻ってくるからね」
誰もいない部屋に向かってそう告げる。
私には見えない尊が、きっといると信じて。
いつになったら見えるようになるんだろう。
お風呂に入って、身体についた塩を落としても意味はなかった。
でも、どうして私尊の事見えてたんだろう。
今までそういう類のものを見たことはなかった。
だから、自分に霊感的なものがあるなんて思いもしなかった。
今も、尊や白銀以外の妖怪は見たことがない。
返事を待っても返事すら聞こえなくて私は部屋を後にした。
電車に揺られておばあちゃんちの最寄りの駅につくと、駅前でお母さんが待っていてくれた。
「ただいま」
「おかえり。今日はありがとね」
「うん。今日はおばあちゃんちに泊まるんでしょう?」
「そうね。このまま向かいましょう」
車に乗り込んで、久しぶりの景色を眺めながら到着を待った。