溺愛妖狐ひろいました
90年と9カ月。
私が人として生きた年月。
そして、35年。
妖として生きた年数。
「朝っぱらからなにやってるんだ」
「ん?朝焼けが綺麗だなぁって」
「いい加減、人間の生活習慣から抜け出せんのか」
気怠そうな白銀は眠たそうに欠伸を一つ。
私が人として死んで、妖として生まれてから。
妖の世界の事を教えてくれたのは白銀だ。
白銀は、神使として忙しい合間を縫って私の側にいてくれる。
35年。
妖として生きては来たけれど人の35年の月日と比べるとなんだかとても長いような気がする。
それは、自分の姿形が全く変わらないからなのか。
それとも、とても待ち遠しかったからなのか。