溺愛妖狐ひろいました


妖になったからといって、なにかが変わったかといわれたらよくわからない。
時々、人間界へと連れて行ってもらうけれど、人間のその目に自分が写らないというくらいで。

それは時々少しだけ寂しく思えるけれど。



妖の世界でできた友だちもいて、なにか特別不便があるわけじゃない。




「90年続けた生活というのはなかなか抜けないモノですね」

「妖としてももう35年だろうが」

「そうだけど・・・」

「いい加減付き合わされる身にもなれ」





なんだかんだ言って付き合ってくれるじゃないの。
知ってるんだ私。
私が寂しくないように、ずっと側にいてくれてるんだって。


牢獄に入った尊の事は、白銀も知ることができないらしくだから、私も何も知らない。



なにも知らないまま、待っている私のためにずっと見守ってくれていることも。
私は、知ってるんだよ。




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