隣の彼は、無愛想。
「ここ、高級マンションですよね。ひとり暮らしですか?」
「ま、まぁ…そうなんです」
それから、少し他愛のない話をしながら歩いていると、マンションについた。
「はい、つきましたよ」
ついたのは、とっても綺麗な高層マンション。
お父さん、これは…やりすぎ。
「本当にありがとうございました!あ、もしよければ、お礼したいのであがっていってください!」
礼儀だけは、母に厳しく教えられてきたから。
「いえ、そんな…いいですよ。じゃあ、これで」
「えぇ!?そんな…あ、ちょっと!」
私が話す間に、彼は片手を挙げながら小走りで去っていった。
あ、そういえば、名前さえ聞いてなかった。
ーー優しい人、だったな。
また…会えるかな…?