隣の彼は、無愛想。



「あ、あの!!道を教えていただきたいんですけど…」
こんなとこで突っ立ってでもどうしようもないから、勇気を出して声をかけてみる、
けど。


「あぁ!?こっちは仕事で急いでんだよ!」
中年の少し太ったサラリーマン。
仕事で失敗でもしてイライラしているんだろうか?
まあ、この人を狙った私が悪かった。


「す、すみません…」
ここは大人しく引いておくほうが見のためだと…思う。


「チッ!とんだ迷惑だ!」
暴言までならまだ、よかったんだけど。
中年おじさんは突然、私の肩を強くつかんだ。

「…!? や、やめ…」
私の声も虚しく、おじさんはそのまま私の肩を押して、倒そうとした。


ああ、… 倒れるーー

そう思った瞬間、肩は後ろから他の誰かにつかまれ、前に押してくれた。
そのおかげで、倒れずにすんだ。


「大丈夫ですか?」

振り向くと、すごくイケメンな青年がいた。


「チッ」
おじさんはまた舌打ちをすると、バツが悪そうに顔を歪め、去っていった。


「あ、あの、助けてくれてありがとうございました!」


「別に大丈夫です。それより、迷ってるんですよね?一緒に行って道案内しましょうか?」
こんなに優しい人間、他にいるだろうか。しかも、一緒に行って道案内までしてくれるなんて。

「いいんですか!?じゃあ…お願いします」
そう答え、地図を渡した。

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