明日も歌う あなたのために

「何か自分の頑張りたいことがあれば、それについての目標を立てて挑戦する。何か自信のないことがあれば、自信をもてるように努力する、とか………?」



上手く言えないけど、きっとそうだと思う。


大切なのは自分に”挑む”ことで、そこで自分自身に勝つことが出来ても、出来なかったとしても、きっと自分自身は成長しているはず。強くなっているはず。




───なんだか、クサい話をしてしまっただろうか。


引かれてはいないかと心配になって高梨の顔をちらりと伺うと、彼はあろうことか全くそっぽを向いている。




「ちょ、ちょっと高梨っ??人が真剣に話して……」

「俺さ」



目を合わせないまま、私の言葉を遮って、ぽつりと雨を落とすように呟いた。




「死んだって花菜が好きだ」





視線の交わらない横顔。
ぎゅっと目を細めて、まるで睨みつけるように窓の外をまっすぐに見詰める。



死ぬほど好きだ。死んだって離さない。


それは相手への"好き"の大きさを、少し大袈裟に表わすにはうってつけの言葉で。


息をするように簡単に、口にする人だっている。



だけど、彼が言うのでは訳が違う。



「嘘じゃないよ、本気だ」



だって彼は、私の知る誰よりも”死”を現実的に見ていた。


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