アンダルテ ~王女と騎士の物語~

嫌味な出会い


モルゼ国には王女が2人いる。第一王女ロゼリアは、母親譲りの美しいブロンドに大らかで慎ましやかな性格、そしてアンダルテ大陸一と称される美しさを兼ね備えた姫である。古来よりアンダルテには、女性は17歳になるまで結婚してはならないというしきたりが存在し、モルゼ王家もそれにならってロゼリアが17歳になるまではどの良家とも婚約を結ばせなかったのだが、ついにこの度ロゼリアの誕生日に隣国エルガーべの第二王子、ウィル・エルガーべとの結婚式を開くこととなったのである。


「恋愛結婚なんて奇跡よねぇ…。」


エレナが用意した紅茶を飲みながら、アデルはため息をついた。
アデルの視界の端では、エレナを筆頭に数人の侍女たちがあわただしくクローゼットルームからドレスを出し入れしているところだ。


「ロゼリア様はお人柄もよく大変お美しい方だったので、国内外問わずたくさんの求婚があったそうですが…。幼馴染の王子殿下とご結婚なさるなんて、まるで物語のようですわ!」


アデルの独り言が聞こえたのか、エレナはアデルの方に向き直りうっとりと思いをはせた。
エレナの言う通り、ロゼリアとウィルは幼い頃からよく顔を合わせており、恋を経て結婚まで至ったのだ。
しかしアデルの心は複雑だった。


「まだ王子殿下にお会いしたことないから正直実感が湧かないわ…。お姉さまがよくお話してくれたけれども、私のこの目で見るまではお姉さまの夫だと認めたくないのよ…!」


アデルは座っていたソファのクッションに顔をうずめると、エレナが彼女と同じ目線までしゃがみこんでくすくすと笑った。


「アデル様のかわいらしい嫉妬ですね。大好きなお姉さまが遠くにいってしまいそうで寂しいのですね。」


「…違うわよ。」


「ふふ…大丈夫ですよ。婿入りですからロゼリア様はずっとこちらにいらっしゃいますし、変わらずアデルさまともお話ししてくださいますよ。ですから…」


< 6 / 31 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop