愛を込めて極北
 「……私と出会った頃、暁は活動資金調達のため、いろんな女の相手をして。偽りの愛の代償として、わずかばかりのお金を手にして。そんな暁を見るに見かねて、私はリブラン社からの資金提供と引き換えに、その女たちとの関係を全て断ち切らせたの」


 「……」


 「ようやく暁は、自分のやりたいことに専念できるようになったのよ」


 これまでの話、どう反応していいのか戸惑っていた私に対し、副社長は自信満々で語り続ける。


 「私と出会ってから、暁はリブラン社からの潤沢な資金提供を元にして、望むままの活動が可能となった。そして私も、この上ない恋人を手に入れた」


 つまりは双方……利害関係が一致したというか、利益供与の関係になったとでも言うべきか。


 「だから一生……暁は私のモノ」


 「お金で楠木さんを買った、ということですか」


 それではかつての女たちと同じような気もする。


 でも副社長は、何の迷いもなく私にこう答えた。


 「そうよ。誰にも邪魔させない。だって私、暁を愛しているんだから」
< 121 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop