愛を込めて極北
 「ていうか、そんな虫のいい話、あり得る? 私のことは用済みで、お金はそのままもらい続けようだなんて。都合よすぎ」


 百合さんのモノローグは続く。


 「だから一言、脅してやったの。リブラン社からの全ての支援は、私との婚約があるからこそだって。それを破棄するのならば、スポンサー契約も打ち切るのが当然の成り行きだと」


 「それで……。楠木さんは何と?」


 「それでも構わない、今後は自力で頑張るですって。できっこないくせに」


 吐き捨てるように答えた。


 「極北へ遠征するのに、どれくらいの費用がかかるか。資金集めには暁が人一倍苦労しているのに。まあ売り言葉に買い言葉の類だから、言いたいだけ言わせておくけれど」


 「……」


 「私の存在なくしては、暁の夢は一歩も前に進まないのは、火を見るよりも明らか。だからあなたも、楠木の夢を叶えてあげたいと思うのなら、余計なことはしないほうが身のためよ」


 この人は絶対に察している。


 ここ最近の楠木の言動の変化の背後に、私の存在があることを。
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