仁と私のストーリー
壁にぶつかりつまづいた…仁と私のストーリー④
仕事と恋愛の両立にはほど遠く、つまづく日々の中、人生最大のどん底に落ちた…。
私の仕事に災難が起きました。
泊まり込みでの介護と保護… 。
特殊な内容にやりがいをもち、睡眠を削って、時には仁との約束をぶちきって専念してきた仕事…。
信用してた知人だからこそ引き受けた仕事…。
私は最終的にだまされた…。
突然、依頼者の家族に打ち切りにさせられ、泊まり込みも突然の解除。
労働対価も打ち切りのせいで3ヶ月分ももらえない状態でストップがかかった。
頭が真っ白になった。

明日からの家は?
仕事は?

労働対価は?
私と子供はどうなるの?

知人に話を突っ込む。

「この状態でどうなんの?もしかしてホンマに撤収で終了?」

《そんな事はない。何の為に今まで身体かけてやってきたんだ?》
《労働対価はこれから請求する。きちんと貰える段取りはできているんだから》

へっっ?これから?

「ちょっと待ってよ!これまでに支払われてない労働対価は?明日からの住みかや生活はどうしたらいいん?」
「いくらかもらわんと路頭の日々が待ってるやん」

《それはきちんと考えてあるから心配するな》
《とりあえず準備段階に入るから明日は何とか泊まる場所を確保できんか?》

「そんなのないよ。心配するなって言うけどプランがないのに不安になるやん」
「聞いてる話と展開が変わってきてるのに安心する方がおかしいよ」

解決があるはずはなく言い合っても仕方がないので今日の所は一旦ひいた。
考えてもしょうがないのは分かってるけど…。

考え込んでいたら仁からの着信…。

『仕事終わったん?』

「終わったよ…」

『もう寝んの?』

「チビがまだ寝てないからもうちょい起きてる」

『今日はこれやんの?』

「今日はやめとく…明日からちょっと現状が変わったからバタバタするでさ…」

『どうしたん?何かあったん?……言えやん事なん?』

「…。…。仕事が明日までになった…。他の仕事があると思うで仕事は大丈夫やと思うんやけど…」

『そこから通うん?』

「そんな事はできやんよ。おばあさんの家やし…。それが出来るなら助かるけどな…」

『住む所どうすんの?あんの?』

「仕事の人が何とか考えてくれてると思う…」

考えてくれてるはずはないに等しいのに…。
強がりからか見栄を切ってしまった。
素直に話して相談すればいいのに余計な所で強がる。

男に好かれないあかんタイプのストライクゾーン!

仁には何も相談できず当日を迎えた。
この日は仕事ではなく撤退の為の荷造りで夕方を迎えた。
伊藤(知人の名前)はその場しのぎの今後あるであろう仕事の予定をさらっと述べ、自分は仕事が残ってると言いつけとっとと解散した。
何か気力が一気に抜けた…。
この先の事を考えるのを一旦ストップさせ、今日の宿はビジネスホテルに決めて娘と宿泊先に向かった。

宿泊先に着き腰をおろしたとたん、不安が襲ってきた。
労働対価がでるまでこんな生活では所持金が持たないし、娘を振り回してては娘が不安定になってしまう事を心配した。
でもどうすることも私にはできないし、知人をこのまま信じて連絡をまち、再びそこで仕事を続けた方がいいのかどうかの判断もできないまま、置かれたレールを走る結果になった。
夜中に仁から着信があった。

『今、どこ?』

「ビジネス!チビと二人できたよ」

『ずっとビジネス?』

「とりあえず今日だけ?!」

『寝るところが毎日違ったら子供がかわいそうちゃう?』

その言葉が私の不安の的に入り、腹をたててしまい、

「そんな事言われんでも私が一番分かってるわ」
「そやけど、突然の事態やから仕方ないやん。別に仁には迷惑かけてないでいいやろ!!」

完全な八つ当たり…。
余計な言葉まで言ってしまい後に戻る余裕すらなくなっていた。

『心配で言っただけで切れられたらこっちが腹立つわ。いっつも良子は俺の事考えやんと言うな‼』

「自分で分かってる事言われたら腹立つやろ⁉」
「もういいわ…電話切るわ」

『ごめん…何か困った事あったら言うておいでよ。怒らんとってな。ごめんな』

仁にとっては十分過ぎるほどの気を使ってくれた。
明日の朝10時にはチェックアウト…。
明日は日曜日…。
仕事の依頼もない…。
その後娘とどこで過ごそうか?
所持金に余裕などない。
イライラが止まらなかった。
朝を迎えてしまった…。
足取りが進まないままチェックアウト…。
そして目的ないまま車を発信させた。
車は走り続けるが、方向性も目的もない。
考えが浮かばない。
時間だけが過ぎる。
少し身体を休めたい…。
目についたのは大きなゲームセンターの駐車場だった。
時間は3時すぎ…。
寝てる娘を見たら可哀想で涙がでてきて、逆にいい加減な扱いをした知人に腹が立ち、今の思いをぶつけようと連絡した。

「色々考えてみたんやけど、やっぱり子供が傍におっては何の仕事もできんし、信用もつかんと思う」
「けど、私は小さい下の子を連れて実家を飛び出してきた身分やから現状は何も変えられへん」
「だから子供を一時的だけ児童相談所に預け入れて仕事をする方法をとろうと思う」

『そこまでの覚悟を決めた事は間違ってないと思うぞ。つらいかもしれんがこの選択も方法の一つやと俺は思う』

私は正直、正しいか間違いか何かはわからない。この時は判断能力さえ働かなかったし、選択肢なんてあるわけない。
明日から娘を食べさす事もできなかったら私たちはの垂れ死んでしまう。
追い詰められての決断に、伊藤は冷静な態度でまるで他人事のような言葉…。
会社経営者としての部下の扱いに残酷を感じた。
私は伊藤に対して疑問を抱きだした。
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