ようこそ!!青蘭高校へ!!
バタバタ…




ガタガタ…




「先輩が来ちゃう!急がなきゃ!!」



「よし!!出来た!!」




いつもより明るいカラーのエプロン。



鏡の中の自分をチェック。








「す… 少しだけ色つきのリップ付けようかな」

「服もやっぱり、可愛いのにしよう」



だって 可愛いって 思われたいもん。



「… でも、先輩 中学の頃とは何だかイメージが違うんだよね」



ボソッと着替えながらつぶやいた。



すごくかっこ良くなってたんだけどね…



「触り方も… なんだか… って!!私 何考えてんのーー!?」


「先輩がそんな いやらしい人なわけないじゃん!!」



そうよ!神崎先輩に限ってそんな人じゃないわ!!



だって 先輩は…




カタン…




「私のヒーローだもん」




フォトフレームの真ん中にいる神崎先輩。


区大会で優勝した時に記念に全員で撮った。



「これじゃあ、わかんないよね」



ガリガリのショートヘアーの真っ黒なクソガキ。


神崎先輩の左端で廉耶と共に写ってる。



「覚えていてくれて 嬉しかった… えへっ」


「沙良ーー!まだ?香さん 帰れないじゃない!」



はっ!!



ヤバイ!!そうだった!!



懐かしい感傷に浸ってる場合じゃない!!



「はーい!今 行きまーす!!」



慌てて着替えて 下に降りた。




すると… 聴き覚えのある声が…




え?




「森ちゃん先輩!?みつ先輩!?」


「って!!廉耶まで!?何でいるの!?」



さっき別れた人たちがカウンターに座って 私に手を振っていた。



「えへへ~!オムハヤシ食べに来ちゃいました~!!」



森ちゃん先輩が可愛い笑顔でそう言った。



「俺も藤のおススメのオムハヤシ」



みつ先輩が藤崎を見ながら言った。



でも、藤崎は知らん顔でメニューを見ていた。



「俺はいつもの~!!」


「はいはい、ハンバーグね」



廉耶はハンバーグ定食と決まっている。


でも、お父さんはオマケでいろいろ付けていた。



「藤崎は?何にする?オムハヤシでいい?」


「… 違うのがいい」



違うのかぁ…



「お前のおススメは?」




私のおススメ??




「太輔君、沙良のカニクリームコロッケ美味しいわよ」




お母さん!!




でも… カニクリームコロッケは自信はある。



だって お父さんから初めて習った 直伝のものだから。



「じゃあ… それで」


「よし!作ってやろう!!」



厨房に入り 作り出す…




心を込めて、一つずつ丁寧に作る。



『いいか?沙良、心は抜くな、抜くと味も悪くなり感動も与えることはできない』




お父さんの口癖。




「うん、丁寧に作るよ、お父さん」




心を込めて。











カタン。





「よし!出来た!!お待たせ~!!」




先輩2人には、オムハヤシ。



廉耶はテッパンのハンバーグ定食。




そして…




「はい、藤崎」




ふわっとサクサクのカニクリームコロッケを出した。




「どうぞ、召し上がれ」



「うわー!すごーい!!いただきまーーす!!」




森ちゃん先輩たちは大喜びで食べ始めた。




やっぱり嬉しいな… 喜んで食べてもらえるのって。




でも、気になるのは、藤崎。




どうかな?お父さん直伝のコロッケは?




ドキドキしながら藤崎を見つめた。




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