ようこそ!!青蘭高校へ!!
… きゅ。




「よし!準備OK!」



ブレザーを羽織り、胸にタータンチェックのリボンを結ぶと青蘭制服準備完了。


カバンを持ち、部屋を出て階段を降りて行く。


リビングの方を見れば 藤崎が静かに寝ていた。



「早くご飯食べちゃいなさい」

「あ、うん」



静かに席に着き朝食を食べ始めた。



「沙良、今日 先生から太輔君の着替えもらってきてちょうだい」



そうだ… 藤原先生 研修でいないんだっけ…



「うん、わかった。ねぇ、それより 藤崎、病院連れて行った方がいいんじゃない?」



顔色がまだ悪いもん…



「そうね… 今日 様子を見て明日連れて行きましょうか… お父さんにも会えるし」




お父さん…









「3日後だよね… 抗がん剤」








「… そうね… いい?笑顔よ、スマーイル!!」


「うん、わかってる!笑顔なら任せて!!」



私のお父さんはガンだ。


レベルで言うとステージⅡ… 


他の箇所に転移しないように抗がん剤治療をしているの。


でも 初めての抗がん剤は結果が思わしくなくて… 不安な日々。


店がある為、なかなか行けない私たち。


お父さんもわかっているから あえて呼び寄せたりしない。


でも、抗がん剤前には必ず行くことにしている。


抗がん剤治療が始まると一気に具合が悪くなるからだ。


抗がん剤治療に負けないように励ましたいから病院へ行く。



その時のお母さんとの約束。



『 お父さんの前では笑顔で 』


『 十分頑張ってるから「頑張って」は言わない 』


『 バイバイではなく「またね」と言うこと 』







明日はお父さんに会える…



嬉しいけど… 泣かないようにするのはツライ。



不意に藤崎の顔を見つめた。




「もう… そんな想いをするのは嫌だな… 」







「大丈夫よ… お母さんがちゃんと説得するから」




お母さんも心配そうに藤崎を見つめた。



悲しそうなお母さんの顔…



きっとお母さんは藤崎の秘密を知ってるんだ。




「ほら、もう行きなさい。遅刻しちゃうわよ」



はっ!!


そうだ!今日は藤崎のバイクじゃないんだ!!




「うん!行ってきます!」




慌てて食べた。




「行ってきます!!」




寝ていて聴こえてないとわかっていても大きな声で言った。




早く元気になれ!!




ケンカ相手がいないと調子が出ないんだから!!




心の中でそう藤崎に言い、元気よく家を飛び出した。



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