愛しの残念眼鏡王子
だけど問題は専務だ。

からかわれたのが一度目の反応なら、先ほどの専務の言動にも頷ける。


だけどもう三ヶ月目。
数え切れないほど松田さんを始め、先輩たちに散々からかわれてきたというのに、いまだにあんな初々しい反応を見せるからいけないんだ。


だからみんな面白がって、今もこうやって専務と私が並ぶとからかってくる。

これがこの職場の困るところ。


専務がもっと動じずにいてくれれば、みんなも飽きてからかわれることはなくなると思うんだけど……この専務は、どうしても初々しい反応を見せてしまうんだ。


「あっ、あれ? お茶の葉ってどれくらい入れるんだっけ?」

「急須が大きいので、三杯ほどが目安ですよ」

お茶菓子を準備しながら言うと、専務はハッとし恐る恐る聞いてきた。


「……それ、確かこの前も同じこと聞いたよね?」

「……はい」
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