つなぎたいから
あたしは特に気にすることもなく音楽を聞き始める。
エレベーターが1階に着きドアが開く。
降りようとした瞬間、右手を後ろに引っ張られた。
2、3歩後ずさる。
あたしはびっくりして、空いてる左手で片方のイヤホンを外した。
「ちょ…、なに…」
「高橋が無視するから」
「引っ張らないでよ。転びそうになった」
あたしは握られた右手をはなそうとした。
しかし、不破くんは握った手を緩める気配がない。
「はなして」
「なんで」
「誰かに見られたら…」
「誰もいないだろ、こんな時間」
エレベーターのドアが閉まりかけたため、開くのボタンを押した。
不破くんと並んでエレベーターを降りる。
「なんで手つなぐの」
「イヤ?」
ずるい。
質問に質問返し。
自信満々な表情。
あたしが断らないだろうって思ってるんだ。
「つなぎたいから」
不破くんがサラッと言った。
そんなこと言われたら、あたし、もう何も言い返せない。
くやしい。
でも。
うれしくて、ドキドキする。
あたしは不破くんの手をキュッと握り返した。
エレベーターが1階に着きドアが開く。
降りようとした瞬間、右手を後ろに引っ張られた。
2、3歩後ずさる。
あたしはびっくりして、空いてる左手で片方のイヤホンを外した。
「ちょ…、なに…」
「高橋が無視するから」
「引っ張らないでよ。転びそうになった」
あたしは握られた右手をはなそうとした。
しかし、不破くんは握った手を緩める気配がない。
「はなして」
「なんで」
「誰かに見られたら…」
「誰もいないだろ、こんな時間」
エレベーターのドアが閉まりかけたため、開くのボタンを押した。
不破くんと並んでエレベーターを降りる。
「なんで手つなぐの」
「イヤ?」
ずるい。
質問に質問返し。
自信満々な表情。
あたしが断らないだろうって思ってるんだ。
「つなぎたいから」
不破くんがサラッと言った。
そんなこと言われたら、あたし、もう何も言い返せない。
くやしい。
でも。
うれしくて、ドキドキする。
あたしは不破くんの手をキュッと握り返した。
