イジワルな彼とネガティブ彼女
「展示会の準備はすすんでんのか?」


「ええ、POPも部長の了承もらえたので、あとは試作をチェックして、年内には製造依頼かければとりあえずは一段落です」


「販促とかも決まったのか」


「そうですね、キャラを作ったので、もう少し若い世代にも受け入れられたらなって思います」


「ふーん、うちから顧客を奪うってことか」


「そうなればいいんですけども」


「俺もいろいろ考えたんだけどさ、高級路線も作ってみようと思ってて」


「それって、うちの定番シリーズと被りませんか」


「そこを狙ってんだよ」


「そうくるなら、少し考えないとですね」


すると、本田さんは私の顔をジッと見て、


「おまえのそういう顔、いいよな」


目を細めて笑った。


私は、その笑顔がいつまでも焼きついて、どうしたらいいかわからなくなった。






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