イジワルな彼とネガティブ彼女
よく考えてみれば、


つきあったことがない=好きになったことがない・好かれたことがない


みたいなもので。


もしかしたら、あの人かっこいいな、くらいの淡い想いはあったのかもしれないけど、記憶には残っていない。


だから、人を好きになるとどんな気持ちになるのか、よくわからないのは当然なのかもしれない。


「というわけで、好きになるとどうなる?」


「えー、彼の言動に一喜一憂したり、胸が苦しくなったり、ヤキモチやいたり、彼のためにオシャレするとか女子力あげたくなるとか、かな」


「いまのところ、何も起こってない気がするんですけど」


「えー、じゃあ経験しちゃった時はドキドキしなかったの?」


「ドキドキ、っていうよりは、痛くて痛くて余裕がなかった」


「ま、最初は仕方ないけどさ、それはだんだん開拓してくしかないし。


キスされた時は?」


「うーん、びっくりしたって感じ?」


美和は大げさにため息をついて、


「そのうちわかるよ、好きになるってことがどういうことか」


その日の講義は終了した。


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